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2007年4月25日水曜日

下流志向

内田樹(たつる)著。
キーワードは時間性、等価交換、消費。
現在日本の働かない若者の特性を経済性という観点に着目し、問題点を指摘。
不快は高く売れるというのが印象的だ。
しかし結局、「師」の必要性など昔は良かった的な価値観の提示に留まり、人生を充実させるにはどうするかという根本問題には一切触れられていないのが気になった。

もっと気になったのは仙人の書き込み。
本文中の、親が金銭的貧しかろうとニートになる可能性はあり、それは一生懸命働くことに虚しさを感じるからだ、という筆者の指摘について、
「まあ俺は実際自分でバイトしないとあんま遊べんから、労働はすんなり受け入れたよ。」
と一家言。
いやー重みがありますね。
本人のみぞ知るという心のゆとりも感じられますね。
体験のにじみ出る言葉というのは説得力があります。
また自分らしさを求める現代の傾向について書かれた項では、
「中途半端な選択を自分の発露だと自己を欺くのは、誰しもが 行っていると思う。井の中の蛙」
とばっさり。
大学を含め日本の製品が世界標準に変わっていくことについて書かれた項では、
「G1の名称変更も仕方ないのか。雄二君は進歩主義かも」
とにわか知識の競馬と現代の若者を代表する雄二君の名が登場。

なんか三色ボールペンで線引くより鉛筆で線引いたほうがしっくりくるな。
ともあれ本はこうやって読むべき。
何も考えず流されて村上春樹を読んで好きとか言ってるやつみるとあきれちゃう。

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